新作の、初めて発売したばかりの1巻というのは、赤ちゃんみたいなもので。 まだ誰もこの作品のことを知らないので、「こういう赤ちゃんがいますよ」と知らせないと、赤ちゃんが生まれたことにすら気づかれないという。 アオアシと一緒に発売させてもらいましたが、かたやこちらは「もう17歳なんやねえ。今回もみんなに見てもらわんとねえ」と、いろんな人たちがアオアシを助けてくれる。僕なんぞはもう「良かったなあ、みんなに良くしてもらってよかったなあ」と、暖かく見守れる。 でもフェルマーは。 バリバリの赤ちゃんです。自分で立って歩けない。 僕と担当のTさんとKさんの3人だけが、出産予定日に立ち会って、無事産まれて、「この子をどうしてくれよう。どうにかしてあげたい。マジでどうとでもなる」と分娩室で立ち尽くすような。 漫画家が分娩するという形でしょうから、分娩台の上には力尽きてミイラになった私が転がっていて、外で待ってた担当編集が「さあどうしよう」という感じかもしれません。 その編集さん達が「とりあえず、俺らのトライブ(一族)の販売部、営業部、みんな頑張るって言ってる。その言葉を信じてくれますか」と、分娩台の漫画家に力強く言う。 漫画家はミイラみたいになってるんで「うう〜うう〜」と返事するのが精一杯。 あんなに必死になってようやく誕生させたのだから、それはもう愛情しかないわけです。 それを、毎日無限に産まれ続けるたくさんの続きをみる
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